猫の足あとを追って…

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『徳之介さん…もう出てこないんじゃなかったっけ…』
サクは突如現れた徳之介との再会を喜ぶ前に
ただ唖然としている

まあ、『そもそも地球に戻らない』という設定だった
冥王星人の自分が、
今こうして地球に戻ってきているので

何でもありのような氣がしていたが…

『登場人物を絞れという意見で、
吾輩は減らされた…
しかし、そんな管轄の下に身を置く必要などあるか

ストーリー運びだの、展開が亀のようにのろいだの、
知ったことがない
というか、吾輩がいたから、今まで面白おかしく
展開してきたのに…

ルールなんてあるから、円滑に行くはずの脚本が運ばなくなるのだ』

そう言って徳之介は、刀をシュッと取り出したので
サクは慌てふためく



『徳之介さん、前回も言ったけど
銃刀法違反になるからやめてくださいっ…』

『なるほど、ルールがあると
物語にアクセスしづらくなるよな…』ミオカは、サクを抱きかかえたまま
ふむふむと頷いているようだ
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『そもそも猫の集会に集まるのには、理由があります
よし子さんの愛猫、ベルさんも待っていますし、
当時、十歳の猫だった僕もいます
そして、セノオさんです…』シルビアは、徳之介の登場も
この場で繰り広げられている会話もまるでスルーしている

『セノオさんって…確か、シルビアの近況を報告してくれた
恩人…』
サクは、ぼんやり思い出していた
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二週間も戻らなかった間、
近所での目撃情報をくれたのが
『セノオさん』という60代ぐらいのご婦人だったのだ

『そして、今日は満月だ。狼が活動するのに最適…』
ミオカがサクの両腕をギュっとつかむので
カチンときたサクはガブリとミオカの手を噛んだ

ミオカの小さなうめき声とともに、
『い…痛い…君の方がよっぽど狼じゃないか』
『あなたこそ、何で私を口説く狼って設定になってるの、気持ち悪い』
サクが不平を言うと、
『君は、とことん異性に心を開かない設定だもんな…』
とミオカは小さく笑った
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『さあ、時間がありません。ミオカさま、サク姫、ワープしますから
目を閉じて…』
シルビアは毛全体を逆立てて、高速ではね上がると瞬く間に消えた
『シルビアを追うぞ』サクはミオカに抱きかかえられたまま、
体がちぎれそうな勢いで
空間移動したのだった


☆シルビア☆

by adv39 | 2016-11-13 00:51