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普通の概念が、歪むとき…

サクは、シルビアを連れて、
学校の外へ出た瞬間
ムワッとした熱気に包まれた

ジリジリと太陽が照りつける中、
サクは思いあぐねていた

おかしい…
前回の7月7日の1限目は、
現国だった氣がする

そもそも、プール開きだったら水着を持ってくるはずだ
しかし、あの家の状況では水着一式、
忘れて来ても無理はない…

『サク姫、グルグル考え事をしているようですが
時間軸に歪みが生じているので
前回の7月7日と
誤差があってもおかしくありません』
シルビアが、説明をし始めた

『僕だって、前回の2015年7月7日は
この周辺を猫として
行ったり来たり、徘徊していましたから』
シルビアの言葉に、サクは笑い出す

『あははははは、今なら笑えるけど…

あの窓から、シーの姿を確認したときは
早く捕まえなきゃって
すごく焦ってた…』

そんな話をしながら、校門に辿り着けば
ふだん
うつむきがちな風間が、髪の毛をかきあげ、
顔がよく見える様子で
立っていた

『風間くん…?
一瞬誰だかわからなかった。
こうして見ると…』
サクが口をまごまごさせていると
風間がニヤッと笑った

『カッコいい?』
風間の発言に、サクはガクッときた

『………。
…んー…、普通の顔だなって。
もっと恐い顔かと思ってた』
シュッと整った、細くも太くもない眉毛と
奥二重か一重の、切れ長の瞳…
唇も、薄くもなく、厚くもなく、普通の形をしている

典型的な日本人顔だろうか
『君の言う、普通の概念がわからないな…』

風間は視線を逸らすと、ピューと口笛を吹いた


☆シルビア☆
by adv39 | 2015-10-16 01:47

我が家を戦艦にされてしまった、波瀾万丈な日常を女子高生の目線で語ります


by adv39