猫の家出


氣を取り直して、サクは学校に行くことにした

シルビアは、ソファに丸くなって、眠り始めた

二十歳の高齢猫ともなれば、一日の睡眠時間が長くなるのも
珍しいことではない

学校の英語教師であるパパンと、女子高生サクは朝ご飯を食べてから、

一緒に家を出ようと玄関に立ったとき
ママンが
『ただいま〜』と仕事先から帰ってきた

ビジネスウーマンであるママンは、
取引先と夜遅くまで商談があったらしい

ママンは『今日はずっと家にいるから、安心していってらっしゃい』と
サクたちを送り出してくれた

遠くでシルビアの『ミャオン』という甘えた声が聞こえる

ママンが帰ってきて、シルビアも嬉しいのだ

しかし、サクは顔をしかめた

先ほど起こった奇妙きてれつな悪夢が、
ママン一人に押し寄せてきたら困るな、と思い

『帰って来なくて良かったのに…』とつぶやいてしまった

『サク、何てこと言うの?今何て言ったの?』当然、ママンは烈火のごとく、怒り始める

『いや、ママ、さっき大変なことが起こって…』パパンがあたふたしながら、ママンを落ち着かせようとしたが
ママンは泣き始めてしまった
『愛する娘にそんなこと言われるなんて思ってもみなかった…もう仕事やめるわ』

ママンの言葉にサクは
『いや、だからね…
さっき家で大変なことが起こったから、ママンを一人きりにしちゃいけないと思ったの』とママンの肩をさすった

シルビアが家族の異変に気づいたのか
『ミャーオン』と鳴きながら、目を光らせて玄関までやってくる
『ああっ!』
3人の声が重なる

氣づいたときには遅かった
玄関の扉は開きっ放しだったので
シルビアは爪をシャッ!と地面を蹴り上げ、

目にも止まらぬ速さで、
外へ飛び出してしまったのだ


☆シルビア☆
by adv39 | 2015-09-06 01:00