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サクと氷の世界

ポトン…ポトン……
雫の音がする

サクはずいぶん長い間、眠っていたような氣がした…
どこもかしこも、
アクアブルーの世界は

神秘的で落ち着くが、
そこに身を置いていると、自分は何だか忘れ去られたような

物悲しさに襲われた

(パパンとママンはどこだろう…
レミ姉ちゃん…ロビン…
いつか忘れていくの…?
シルビア…)

サクはシルビアの顔を思い浮かべた

最初は猫の姿をしたシルビアだったが
徐々に、猫人間に変貌を遂げる映像が
サクの頭を駆け巡った…
『サク姫、サク姫…』

そのとき、ぼや〜っとしていた頭のイメージが
次第にはっきりくっきりしてくるのを
サクは感じた

『サク姫!…良かった…』
気がつけばサクは、
雪の結晶と、氷の柱に閉ざされた空間で
シルビアに介抱されていたのである

『やれやれ…君は』
シルビアの後ろから、ぬっ…と風間が顔を覗かせる

『えっと…ハザマくんだっけ…』
『風間だよ、風間!何で忘れちゃうんだよ』
サクの言葉に、風間は憤慨して
声を荒立てた

『無理もありません…
サク姫はあれから一週間ほど眠り続けていたのですから…
多少、記憶が飛んでいる部分もあるでしょう』
シルビアが
そっとフォローする

サクは、ぼんやりしながらも…
ブルッとした悪寒に襲われ、思わず
『寒いっ!』と
叫んだ

☆シルビア☆
by adv39 | 2015-11-29 23:38

我が家を戦艦にされてしまった、波瀾万丈な日常を女子高生の目線で語ります


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